これからダイビングを楽しみたいという方は、減圧症について知っておく必要があります。
減圧症の症状が起こる確率は低いとされていますが、体調や生活週間などが原因して減圧症を発症してしまう場合があります。
誰しもがリスクを抱えることになるので、対策や予防法をしっかりと頭に入れておくことが大切です。
今回この記事では、
- 減圧症とは
- 減圧症の症状
- 減圧症を引き起こす誘因
- 減圧症の予防法・対策
この4つのことについて、詳しく解説していきます。
Contents (目次)
ダイビングの時に気をつけたい「減圧症」とは?
減圧症とは、ダイビングを行う時にシリンダー内の空気から窒素が体内に溶け込むことで気泡化し、物理的に血管を詰まらせたり、組織を圧迫することで障害を起こす症状のことです。
通常であれば、吸い込んだ窒素は周囲の圧力に応じて身体に溶け込んでいき、溶け込んだ窒素は呼吸によって排出されます。
しかしダイビングを行なっている時は、水中という高圧化で窒素の排出が追いつかなくなる場合があり、排出されなかった窒素は身体の中の組織内や血管内で気泡化してしまいます。
この気泡は血管内で血液の流れを物理的に詰まらせてしまい、組織を圧迫することで、さまざまな症状を引き起こします。
それだけでなく、発生した気泡は血管内皮細胞と呼ばれる血管の壁の収縮と弛緩などを調節する細胞に影響を与えて、血液が固まりやすくなるなどの二次障害を起こす場合もあるとても怖い症状です。
深い場所にダイビングする時に起こる減圧症の症状
軽症(Ⅰ型) | 重症(Ⅱ型) |
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気泡による障害はいろんな組織に起こることが多いので、症状はさまざまです。
まれに意識障害や死亡といった重篤な症状が起こる症例がありますが、頻度はとても低いことがわかっています。
逆に8時間、24時間と浮上後時間が経ってから現れる症状は軽症である場合がほとんどです。
しかし皮膚の痒みや関節の痛みなど軽症であっても、時間が経ってから重症化する場合があるので注意が必要です。
ダイビングで減圧症が起こるまでの時間
NPO法人潜水医学情報ネットワークによると、米海軍の空気潜水データベースにダイビングで減圧症が起こるまでの時間について明確な記述があります。
減圧症の症状が起こるのは、ほとんどが水面に浮上してから6時間以内で、48時間以降に減圧症の症状が現れることはほとんどありません。
- 1時間以内:42%
- 3時間以内:60%
- 8時間以内:83%
- 24時間以内:98%
脳に何らかの症状が現れる場合は浮上後30分以内、骨髄に症状が現れる場合は90%が浮上後4時間以内に発症する報告があるので、重症な減圧症の症状ほど、浮上後短い時間で症状が現れます。
減圧症を引き起こしやすい誘因
- 40歳以上の中高齢者
- BM I 25以上の肥満
- 古傷がある人
- 前日に飲酒している人
- 飲酒や下痢などで脱水症状のある人
- 睡眠不足や疲労感・精神的ストレスなど体調不良を感じている人
- 水温20℃以下の低い水温でのダイビング
- 潜降と浮上の繰り返し
- ダイビング後の運動
- ダイビング後の長湯
- ダイビング後の標高400m以上の高所移動
- ダイビング後の飛行機搭乗
- 卵円孔開存(らんかんこうかいぞん)などの体質
上に書いたような方は、減圧症が起こりやすい誘因を持ち合わせているので注意が必要です。
たくさん書きましたが、これはあくまで減圧症の誘因の一例に過ぎません。
例えば女性であれば、生理中や生理前、ピルの服用などがあれば、減圧症のリスクが高まります。
安心してダイビングを楽しむために減圧症にならないための対策
減圧症が起こる頻度は、レジャーダイビングで10,000〜50,000ダイブにつき1例とごくごく稀に起こるとされていますが、決して他人事ではありません。[MOU1]
しかしこれはしっかりと対策を行うことで予防することができるので、ダイビングを楽しむ際は予防・対策が不可欠です。
- 水中に深く潜らない
- 長い時間水中にとどまらない
- 急浮上しない
減圧症を防ぐには、この3つが重要になってきます。
ここからは、この3つの予防法・対策について詳しく解説していきます。
水中に深く潜らない
ダイブプロフィールと呼ばれる潜行後浮上するまでの深度の変化や時間を表したグラフがあります。
模範的なダイブプロフィールは、平均水深14m以内、潜水時間45分以内です。
このダイブプロフィールの範囲内でダイビングを楽しむことが、減圧症を予防するのに大切なことです。
また水深20m以上ダイビングを楽しむ場合は、潜る時間を短くする必要があります。
水深30mより深く潜ると、減圧症だけでなく骨が腐る骨壊死を発症するリスクが高まるので注意が必要です。
長い時間水中にとどまらない
ダイブコンピューターを守り、NDL(無限圧潜水可能時間)の範囲内でダイビングを楽しむことも、減圧症を予防するのに大切なことです。
しかしダイブコンピューターは体内の窒素量を測れるものではないので、あくまで安全の目安として捉えておきましょう。
減圧症は体質や体格・体調などでも発症しやすいかどうかが異なるので、NDLで示されている時間ギリギリまでダイビングを楽しむのではなく、時間に余裕を持つことが大切です。
急浮上しない
減圧症が発症する最も多い原因は、浮上スピードによるものです。
ダイバールールでは、浮上する時に1分間に18Mを超えないようにする必要があります。
この1分間に18Mというのは、自分が排出している泡を超えないように、もしくはインストラクターの浮上スピードを超えないようにする必要があります。
また、水深5Mで3分間とどまり、身体に溜まっている窒素を排出してから浮上することが大切です。
まとめ
減圧症とはシリンダー内の空気から窒素が体内に溶け込むことで起こるさまざまな症状のことを言います。
症状はさまざまですが、例えば皮膚の痒みや関節の痛みなどが多く、確率は低いですが意識障害や死亡といった生命に関わる症状も起こるので注意するに越したことはありません。[MOU1]
減圧症は重症であればダイビングから早い時間で症状が現れて、軽症であればダイビングから時間が経ってから症状が現れやすいのが特徴です。
減圧症は体質や生活習慣などでもリスクが高まるので、ダイビングを楽しむ前に体調を整えて生活習慣を見直しておくことが重要です。
減圧症は恐ろしい症状であるように感じた方が多かったと思いますが、減圧症は水中に長く潜らない、長い時間水中にとどまらない、急浮上しないことで防ぐことができます。
- 平均推進14m以内、潜水時間45分以内
- ダイブコンピューターのNDLに余裕を持つ、必ず守る
- 浮上するときは1分間に18Mを超えない、自分が出す気泡を追い越さないようにする
この3つのことを守ることで、減圧症のリスクを下げることができます。
繰り返しになりますが、減圧症は誰にでも起こる可能性のある恐ろしい症状です。
予防や対策ができることはしっかりしておくことで、減圧症のリスクを下げることができます。
これからダイビングを始めたいという方は、しっかりと減圧症について知識を学んでおくようにしましょう。
ダイビング後の飛行機搭乗について詳しく説明している記事も書いていますので、是非覗いてみた下さいね。
ダイバーであれば必ず理解しておくべきことですのでしっかり理解しておきましょう!!