ダイビングは、魅力的な海の世界を体験できる素晴らしいアクティビティ。そして、その核となるのが「ダイビングマスク」です。適切なものを選べば、海の景色をクリアに楽しむことができます。
この記事では、ダイビングマスクの必要性、その役割、種類や素材を詳しく解説します。さらに、あなたにピッタリのマスクを選ぶための基準や、気をつけたいポイントも伝授します。これで、あなたのマスク選びも、きっとスムーズに進めることができるでしょう。
Contents (目次)
海中ではダイビングマスクが必要不可欠
皆さんもプールや海水浴の際、水中で裸眼のまま目を開けると、視界がぼやけてよく見えない経験をしたことがあるでしょう。しかし、ゴーグルやダイビングマスクを装着すると、水中の風景がはっきりと見えます。
その理由は、人間の目が空気中で物をクリアに捉えるように構造化されているからです。水中では、水が目に直接触れるため、視界がぼやけるのです。ゴーグルやダイビングマスクを使用することで、レンズと目の間に空気の層ができ、視界が明確になり、見えやすくなるわけです。
また、水中の光の屈折率は異なり、物体が実際よりも約1.3倍大きく見える特性があります。
このような理由から、水中の美しい景色を堪能するためには、ダイビングマスクが不可欠。特に海では、強化ガラスを採用した、鼻までカバーする安全なダイビングマスクが必要です。
ダイビングマスクの構造と各部の名称
Photo from "GULL"
ダイビングマスクは、水中での綺麗な視界を確保することに加え、水中で鼻に水が浸水しないように鼻をすっぽり覆う形をしています。目と鼻の両方を覆うことから、鼻を覆う機能のないメガネやゴーグルと違い「マスク」と呼んでいます。
ダイビングマスクの構造と各部の名称、水中でどんな役割をしてくれるかを簡単に説明していますので覚えておくと良いでしょう。
レンズ:
ダイビング用に使われれているものは、衝撃に強く、万が一割れてしまっても飛び散らない強化ガラスが使われています。強くて透明度の高いものが使われており、紫外線をカットしてくれるUVプロテクトのものもあります。
フレーム:
ガラスを固定する枠の部分。
スカート:
フレームの周りにある顔とフレームの間を立体的に繋いでくれ、空間を確保することで浸水を防いでくれる役割があります。顔の肌に直接触れる部分なのでとても柔らかいシリコンが使われていることが多いです。
ノーズポケット:
鼻に水が入るのを防いだり、マスクにかかる水圧を解消するためのもので、耳抜きの際には、この部分を鼻つまみします。(※耳抜きとは、鼓膜に圧力がかかってしまうことで感じる痛みを取り除く方法)
ストラップ:
後頭部に触れる部分で、マスクを顔にフィットした状態でホールドしてくれるためのもの。
バックル:
スカート部分が顔にジャストフィットするように、ストラップの長さ、締め付け具合を調節するためのパーツ。
ダイビングマスクのタイプ
ダイビングマスクは、レンズの形状により、1眼タイプ、2眼タイプ、マルチタイプの3つに分類されます。これらのタイプごとに、他者から見た印象や自分の視界が異なります。
1眼タイプ
Photo from "GULL"
中央にフレームがなく、ひとつのレンズになっているのが1眼タイプです。広い視界を確保したいフォト派ダイバーや、柔らかい印象に見せたい女子ダイバーに人気があるのが、この1眼タイプ。
メリット:
- 視界が広い
- 相手からの表情が分かりやすく、可愛い印象を与える
デメリット:
- マスク内の容積が大きめなので、水中でマスクが浮き上がりやすい
- マスククリアしずらい場合がある (※マスククリアは、マスク内に海水が入ったときに排水する行為)
2眼タイプ
Photo from "GULL"
中央にフレームがあり左右にレンズが分かれているのが2眼タイプです。カッコいい印象に見せたいダイバーに人気があるのが、この2眼タイプ。メガネの様にレンズが左右に分かれているので、左右毎に矯正レンズを選べるモデルもあるので近視・遠視などで視力補正が必要なダイバーにも便利なタイプ。
メリット:
- マスク内の容積が小さいのでマスククリアがしやすい
- 左右のレンズ毎に矯正レンズを採用できるので、視力が気になる方も安心
デメリット:
- やや視野が狭くなりがち
マルチタイプ
Photo from "mares"
1眼タイプの真ん中のレンズにサイドウィンドウがプラスされてレンズが3つ以上で構成されているので、水中世界をできる限り広く明るく見たいダイバーに人気があるタイプ。
メリット:
- 視界が圧倒的に広い
- 左右の視界の広さは1眼・2眼タイプよりも圧倒的に広い
- マスク内容積が大きいため水中で感じる圧迫感が軽減される
デメリット:
- マスク内の容積が大きいのでマスククリアがしずらい
- 上下の視界は若干狭くなる印象を受けるタイプがある
ダイビングマスクの素材
Photo from "GULL"
ダイビングマスクが顔に直接触れる部分(スカート)の素材には、ラバーかシリコンが使われています。
ラバーはお手頃価格なものが多いですが、ゴム独特の臭いがあり、何より劣化の激しさが難点です。
一方でシリコンは強い撥水作用に加え耐久性が高く、肌に触れた感じもソフトタッチ。ラバーに比べると高価になりがちですが、比較的長く使えます。むしろ、シリコンが採用されているダイビングマスクに絞った上で自分に合ったものを探す方がオススメです。
そしてシリコン素材のダイビングマスクには主に、”ホワイト” ”ブラック” ”クリア” の 3 つのカラーが用意されています。
”ブラック” は汚れや黄ばみも目立たず余計な光を抑えてくれるので水中撮影に向いているのが特徴で、”クリア” と ”ホワイト” はファッション性が高くより多く光を取り込めるので相手から見た顔の表情が明るく見えるのが特徴です。
ただし ”クリア” と ”ホワイト” は汚れや黄ばみが目立ってしまいがちなので、コマ目なお手入れとしっかりとした保管が求められます。
ダイビングマスクを選ぶ時に重要な6つの考慮点
これまでの説明から、ダイビングマスクの構造、タイプ、素材の知識や特徴を学びましたね。これらの基礎知識を押さえておけば、自分の好みやダイビングスタイルにぴったりのマスクを選ぶのが容易になります。以下のポイントを踏まえて選べば、最適で快適なダイビングマスクを見つける手助けとなるでしょう。
- フィット感
ダイビングマスク選びの鍵は、顔へのフィット感です。フィットしないマスクは、水漏れやレンズの曇りを引き起こし、不快感を感じることが増え、安全かつ快適にダイビングを楽しむことが難しくなります。マスクは男性用、女性用、ユニセックス用など、サイズが異なるものが多いです。この点を理解した上で、実際に顔に合わせてみることが大切です。フィット感をチェックする簡単な方法として、ストラップを外してマスクのスカート部分を顔に押し当て、髪の毛などが挟まっていないことを確認した後、鼻で息を吸います。この状態で手を放してもマスクが落ちない、そして隙間ができていない場合、良いフィット感が得られています。また、水中でのレギュレーター使用や笑顔時のフィット感も確認しておくと良いでしょう。
- レンズの素材や処理
ダイビングでは直射日光が多いので、UVカット機能や反射防止のレンズを持つマスクがおすすめです。視力が0.7未満の方は、度付きレンズが使用できる2眼タイプのマスクを選びましょう。水中では物が実際より約1.3倍大きく見える特性があるため、視力が0.7以上の方は度付きの必要は少ないかもしれません。コンタクトレンズを着用することも考えられますが、マスク内に水が入るなどのトラブル時に、コンタクトが外れるリスクがあり、それが視界の確保を妨げる危険があるので、視力0.7未満の方は度付きレンズのマスクが安全です。
- スカートの材質や色
ダイビングマスクのスカート部分には、シリコン製が最も一般的です。シリコンは耐久性、柔軟性、快適さを備えています。この素材では"ホワイト"、"ブラック"、そして"クリア"の3色が主流です。特に"ブラック"は汚れや黄ばみが目立ちにくく、余計な光をカットするため水中撮影に適しています。一方、"クリア"や"ホワイト"はファッション性が高く、光を多く取り込むため、着用者の顔が明るく見えるのが特徴です。 - マスク内容量
ダイビングマスク内の容積が大きいと、視野が広く、明るくなります。しかし、マスク内の水を取り除く「マスククリア」が難しくなります。逆に、容積が小さいと視野は狭まりますが、マスククリアはしやすくなります。マスククリアの手間を少なくしたいダイバーは、この点を考慮してマスクを選んでください。 - ダイビングの目的や頻度
ダイビングの目的や頻度に応じて、適切なマスクの選択が大切です。年に数回程度のダイビングを楽しむカジュアルダイバーは、基本機能を持つマスクで問題ありません。一方、週に数回以上ダイビングする方は、耐久性や快適性に優れた高品質のマスクを選ぶことをおすすめします。 - ケア・メンテナンスの容易性
ダイビングマスクの劣化は、お手入れや保管方法に大きく左右されます。濡れた状態で放置するとカビの原因となり、高温や直射日光下での長時間の放置は変形や劣化を引き起こします。使用後は、真水で洗ってしっかり乾燥させ、高温多湿を避けた場所での保管が理想的です。 特に、シリコン素材のスカート部分で色が"クリア"や"ホワイト"の場合、汚れや黄ばみが目立ちやすいため、定期的なお手入れが不可欠です。メンテナンスが得意でない方や、時間をかけたくない方は、"ブラック"を選択すると良いでしょう。
まとめ
ダイビングは魅力的なアクティビティですが、その楽しさや安全性を確保するためには、適切なギアの選択が不可欠です。なかでも、ダイビングマスクは水中の美しい景色をきちんと見るための重要なアイテムです。そこでこの記事では、ダイビングマスクの構造、種類、素材、そして選ぶ際の注意点について説明しました。
それらの知識をもとに、あなたのダイビングスタイルや経験に合わせて適切なダイビングマスクを選ぶ手助けとして、簡単なチャートとその推奨理由をまとめました。ぜひ参考にしてください。
ダイビングスタイル/頻度など | マスクの種類(おすすめ順)※1 | スカートの色(おすすめ順)※2 | マスクの容積(おすすめ順)※3 |
初心者ダイバー | 2眼タイプ > 1眼タイプ | クリア > ホワイト > ブラック | 中 > 小 > 大 |
頻繁なダイバー(週に数回、またはそれ以上) | 1眼タイプ > 2眼タイプ | ブラック > ホワイト > クリア | 小 > 中 > 大 |
フリーダイバー(フリーダイビング兼用) | 1眼タイプ > 2眼タイプ | ブラック > クリア > ホワイト | 小 > 中 |
フォト派ダイバー | マルチタイプ > 1眼タイプ> 2眼タイプ | クリア > ブラック > ホワイト | 大 > 中 > 小 |
カジュアルダイバー(年に数回) | 2眼タイプ > 1眼タイプ > マルチタイプ | ホワイト > クリア > ブラック | 中 > 小 > 大 |
ディープ主体のダイバー(水深30m-40m) | 2眼タイプ > 1眼タイプ | ブラック > クリア > ホワイト | 小 > 中 |
視力に不安あり(視力0.7以下) | 2眼タイプ | ブラック > クリア > ホワイト | 小 > 中 > 大 |
※1 マスクの種類:
- 2眼タイプ: マスク内の容積が小さめ(小)なので、面圧が少ないのでマスククリアが容易。視力矯正レンズの選択肢もある。
- 1眼タイプ: 視界が広い。マスク内の容積が大きめ(中)なので、2眼タイプよりもマスククリアがしにくい傾向。水中でマスクが浮き上がりやすい。
- マルチタイプ: 視界が最も広く、特に横方向の視野が広い。マスク内の容積がやや大きい(大)ためマスククリアがしにくい。
※2 スカートの色:
- クリア: 明るい環境を好むダイバーや初心者に推奨。視野が広がり、閉所恐怖症を感じにくい。但し、汚れや黄ばみが目立ちやすいので、定期的なクリーニングが必要。
- ブラック: 集中力を高め、余計な光をカットして水中環境に集中するのに役立つ。汚れが目立ちにくいのでケアが容易。
- ホワイト: ファッション性が高く、光の反射を適度に受けるため、水中の視認性を向上させることが期待される。但し、黄ばみや汚れが目立つので定期的なケアが必須。
※3 マスクの容積(目安):
- 小 (130ml以下): 面圧が少なく、耳抜きが容易。ディープダイビングやフリーダイビングにおすすめ。
- 中 (130ml〜170ml): バランスが良く、多くのダイバーに適している。頻繁なダイビングや一般的なレクリエーショナルダイビングに最適。
- 大 (170ml以上): 視界が広いため、景色や生物を楽しむダイビングやフォト派ダイバーにおすすめ。
このチャートを参考に、あなたにとって最適なダイビングマスクを見つけ、水中の世界をより深く、より安全に楽しんでください。定期的なケアやメンテナンスを忘れず、ダイビングの素晴らしさを存分に味わってください。